MyWhooshのEnduranceカテゴリを開くと、89種類ものワークアウトがズラリと並んでいます。「Base Miles」「Zone 2 Endurance」「Mitochondria」…名前だけでは違いがわかりにくく、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、89種類のエンデュランスワークアウトを初心者・中級者・上級者の3段階に分類し、それぞれのレベルに最適なメニューを具体的な数値とともに紹介します。すべてのワークアウトはUAE Team EmiratesのWorldTourコーチKevin Poultonが設計しており、しかも完全無料で利用できます。
エンデュランスワークアウトが有酸素能力を底上げする理由
「速く走りたいなら、速く練習すればいい」と思いがちですが、MyWhoosh公式は「We don’t always get faster by training faster(速く走ることで速くなるとは限らない)」と明言しています。エンデュランスワークアウトの中心となるZone 2(FTPの56〜75%)でのトレーニングには、科学的に裏付けられた明確な効果があります。
Zone 2の強度では、遅筋線維(Type 1筋線維)が優先的に動員されます。この遅筋線維を継続的に刺激することで、筋肉内のミトコンドリアが増殖・成長し、脂肪を優先的なエネルギー源として利用する能力が高まります。結果として、レースやロングライドで貴重なグリコーゲンを温存でき、後半の粘りが変わってくるのです。
さらに毛細血管の発達も促進されるため、酸素供給能力が向上し、すべての強度域でのパフォーマンスが底上げされます。ポラライズドトレーニングの理論では、全トレーニング時間の60%以上をこのZone 2に割り当てることが推奨されています。MyWhooshのエンデュランスカテゴリは、まさにこのZone 2トレーニングを中心に設計されたワークアウト群です。
89種類を構成する10のシリーズと選び方の基準
エンデュランスカテゴリの89ワークアウトは、大きく10のシリーズに分類できます。それぞれの特徴と強度レンジを把握しておくと、自分のレベルと目的に合ったメニューを選びやすくなります。
| シリーズ名 | 本数 | 時間 | IF範囲 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Base Miles | 3本 | 42〜44分 | 0.66〜0.68 | 最も低強度。ベースフィットネスの構築に特化 |
| Zone 2 Endurance | 6本 | 57分〜1時間2分 | 0.66〜0.78 | 純粋なZone 2トレーニング。遅筋線維の刺激 |
| Endurance(コア) | 8本 | 49分〜1時間24分 | 0.68〜0.76 | 標準的なエンデュランスメニューの中核 |
| Aerobic | 6本 | 53分〜1時間10分 | 0.71〜0.74 | 有酸素能力の開発と維持 |
| Cadence Changers | 3本 | 42〜48分 | 0.64〜0.71 | ケイデンス変化でペダリング技術を磨く |
| Strength Endurance | 4本 | 1時間〜1時間4分 | 0.71〜0.74 | 筋持久力と有酸素のハイブリッド |
| Mitochondria | 15本 | 58分〜1時間38分 | 0.70〜0.89 | ミトコンドリア密度向上の高強度シリーズ |
| Tri Endurance | 7本 | 1時間4分〜1時間56分 | 0.73〜0.81 | トライアスロン向けロングエンデュランス |
| Season Base | 3本 | 1時間〜1時間14分 | 0.83〜0.84 | シーズン前の高負荷ベース構築 |
| 入門・教育系 | 2本 | 30分 | 0.65〜0.66 | ゾーンやインターバルの基礎を体感で学ぶ |
IF(Intensity Factor)はワークアウトの平均強度をFTPに対する比率で表した数値で、1.0がFTP相当です。TSS(Training Stress Score)はトレーニング負荷の総量を示し、時間と強度の掛け合わせで決まります。この2つの数値を見れば、ワークアウトのキツさと身体への影響が一目でわかります。
選び方の基本は「IF 0.65前後から始めて、慣れてきたら0.70台、さらに0.80台へ」というステップアップです。Kevin Poulton自身が推奨する進行順序は、Base Miles → Zone 2 → Endurance → Mitochondriaとなっています。
初心者が最初に取り組むべきMyWhooshエンデュランス8選
インドアトレーニングを始めたばかり、またはMyWhooshに移行してきたばかりの方には、IF 0.64〜0.68の低強度メニューがおすすめです。「楽すぎるのでは?」と感じるかもしれませんが、この強度でこそZone 2の恩恵を最大限に受けられます。
| おすすめ順 | ワークアウト名 | 時間 | TSS | IF | おすすめの理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | What are Training Zones? | 30分 | 22 | 0.65 | 各トレーニングゾーンを実際にペダルを回しながら体感できる入門メニュー。MyWhooshで初めてワークアウトをする方はここからスタート |
| 2 | What are Intervals? | 30分 | 22 | 0.66 | インターバルトレーニングの基本パターンを体験。強度変化のリズムに慣れる |
| 3 | Base Miles #1 | 42分 | 30 | 0.66 | 42分で完了するコンパクトなベース構築メニュー。平日の短時間トレーニングに最適 |
| 4 | Base Miles #2 | 44分 | 32 | 0.66 | #1と同じIF 0.66ながら、わずかにTSSが上昇。自然なステップアップ |
| 5 | Base Miles #3 | 43分 | 34 | 0.68 | Base Milesシリーズの仕上げ。IFが0.68に上がり、Zone 2上限への準備 |
| 6 | Cadence Changers #1 | 42分 | 28 | 0.64 | カテゴリ内で最も低いIF 0.64。ケイデンス(ペダル回転数)を意識的に変化させることで、低負荷ながらペダリング技術が向上する |
| 7 | Zone 2 Steady State | 1時間 | 43 | 0.66 | 52分50秒間、67% FTPをひたすら維持するシンプルなメニュー。Zone 2トレーニングの真髄を体感できる |
| 8 | Zone 2 Endurance 30min | 59分 | 42 | 0.66 | 30分のZone 2メインセット。Base Milesを卒業した後の次のステップとして |
Zone 2 Steady Stateの構成はきわめてシンプルです。3分間のウォームアップ(50% FTP)、2分10秒のビルドアップ(60% FTP)を経て、52分50秒間にわたり67% FTPを一定に維持します。強度の変化がないため、心拍数の安定やペダリングのリズムに集中できます。最後に2分間のクールダウン(50% FTP)で締めくくります。
初心者の方は、まず入門系の2本で基礎を理解し、次にBase Miles #1〜#3を順番にこなします。これだけで2〜3週間のトレーニングになります。Base Milesに慣れてきたらZone 2 Steady Stateに進み、1時間のZone 2セッションに身体を慣らしていきましょう。
中級者のエンデュランス強化に効くMyWhooshワークアウト8選
Base MilesやZone 2 Steady Stateをこなせるようになったら、IF 0.69〜0.78のメニューにステップアップします。このレンジではZone 2の上限からテンポゾーンに差しかかる強度となり、有酸素能力をさらに引き上げる刺激が加わります。
| おすすめ順 | ワークアウト名 | 時間 | TSS | IF | おすすめの理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Aerobic 12’s #1 | 1時間3分 | 55 | 0.73 | MyWhoosh公式が冬季トレーニングTOP5に選出した唯一のエンデュランスメニュー。3×12分を76% FTPで回す構成で、Zone 2上限のパワーを長時間維持する力が身につく |
| 2 | Zone 2 Endurance #1 | 1時間 | 46 | 0.68 | 60〜75% FTPの間をプログレッシブに上下するランプ構成。一定強度のSteady Stateとは違った形でZone 2を刺激できる |
| 3 | Endurance #1 | 1時間 | 51 | 0.72 | Enduranceシリーズの起点。コアとなる強度帯をバランスよくカバーする基本メニュー |
| 4 | 90 Minute Endurance | 1時間30分 | 70 | 0.69 | 65%と75% FTPを交互に繰り返す1時間半のロングメニュー。休日のロングライド代替として、ミトコンドリア成長と脂肪燃焼能力の向上に効果的 |
| 5 | Endurance #7 | 58分 | 44 | 0.68 | 5×7分のブロック構成で、海外サイクリングメディアCycling Indoorsが「well structured」と評価したメニュー |
| 6 | Strength Endurance #1 | 1時間 | 49 | 0.71 | 筋持久力と有酸素能力を同時に鍛えるハイブリッドメニュー。ヒルクライムやロングライド後半の粘りに直結する |
| 7 | Rolling Hills #1 | 56分 | 48 | 0.72 | アップダウンのある実走を想定した起伏シミュレーション。一定ペースだけでなく、変化するパワーへの対応力を養う |
| 8 | Mitochondria #3 | 1時間21分 | 66 | 0.70 | Mitochondriaシリーズの中で最も低いIF 0.70。上級者向けシリーズへの橋渡しとして、ミトコンドリア刺激の入り口を体験できる |
中級者に特におすすめしたいのがAerobic 12’s #1です。MyWhoosh公式ブログが「Do not forget about base endurance training in the winter(冬でもベースエンデュランストレーニングを忘れないで)」と強調しながら冬季トレーニングTOP5に選出したメニューで、3×12分を76% FTPで回す構成になっています。高強度トレーニングに偏りがちな冬場でも、有酸素基盤の維持に役立ちます。
90 Minute Enduranceは、65%と75% FTPの交互インターバルで構成された1時間半のロングメニューです。3分間のプログレッシブウォームアップ(39〜59% FTP)から始まり、1〜4分ブロックで65%と75%を切り替えながら走り続けます。途中にミッドライドリカバリー(60% FTP)を挟むため、1時間半でも意外と集中力を保ちやすい設計です。
週間プランの組み立て方としては、Zone 2系(Zone 2 Endurance #1や90 Minute Endurance)を週2回、Aerobic系やEndurance系を週1回という配分が目安です。Kevin Poultonは高強度セッションを週2〜3回に制限し、残りをエンデュランスに充てることを推奨しています。
上級者のミトコンドリア強化に最適なMyWhooshワークアウト7選
IF 0.79以上のワークアウトはSweet Spot(88〜94% FTP)やそれ以上の強度を含み、従来のLSD(Long Slow Distance)トレーニングと同等の効果を短時間で得ることを目指したメニューです。特にMitochondriaシリーズは、高強度インターバルによるミトコンドリア密度の向上に特化しています。
| おすすめ順 | ワークアウト名 | 時間 | TSS | IF | おすすめの理由 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Mitochondria #12 | 58分 | 77 | 0.89 | カテゴリ内で最も高いIF 0.89。10×2分を113% FTPで回し、各2分のリカバリーを挟む。1時間弱で強烈なミトコンドリア刺激を得られる |
| 2 | Mitochondria #13 | 1時間33分 | 117 | 0.87 | カテゴリ内最大のTSS 117。ロング+高強度で、エンデュランスとVO2max刺激の両方を1セッションに凝縮 |
| 3 | Mitochondria #11 | 1時間8分 | 84 | 0.86 | IF 0.86の高強度ミトコンドリアワーク。#12ほど短時間集中ではなく、やや長い時間をかけて負荷を蓄積する |
| 4 | Season Base #3 | 1時間14分 | 87 | 0.84 | シーズン前の高負荷ベース構築。レースシーズンに向けて有酸素基盤を一段引き上げたいときに |
| 5 | Explosive Endurance 12’s | 52分 | 61 | 0.84 | 爆発的なパワー出力とエンデュランスを融合させた独自メニュー。レースのアタック対応力を養う |
| 6 | Mitochondria #1 | 1時間 | 65 | 0.81 | Mitochondriaシリーズの起点。1時間の集中セッションで、#12や#13への準備段階として |
| 7 | Tri Endurance #7 | 1時間38分 | 108 | 0.81 | トライアスロン向けロングエンデュランスの最高負荷。1時間38分でTSS 108は、長時間にわたり高い強度を維持する総合力が問われる |
Mitochondria #12の構成を具体的に見てみましょう。3分間のウォームアップ(50% FTP)から始まり、60%→65%→81%→109% FTPと段階的にビルドアップします。続いて4分間の閾値ワーク(90% FTP)で身体を起こした後、メインセットに入ります。メインセットは10×2分を113% FTP(VO2maxゾーン)で踏み、各インターバルの間に2分間の50% FTPリカバリーを挟みます。最後に2分間のクールダウン(45% FTP)で終了です。
一方、Mitochondria #5(IF 0.76、1時間11分)はメインセットが10×1分を113% FTPで踏む構成で、#12の10×2分と比べると半分の時間です。回復時間も3分と長めに設定されています。つまり、#5でVO2maxインターバルに慣れてから#12にステップアップするという段階的な進行が可能です。
Mitochondriaシリーズに取り組む際は、週2回以上の高強度セッションを避け、間にZone 2のリカバリーセッションを入れることが重要です。Slowtwitchフォーラムでは「ワークアウトが十分にハードかどうか」を懸念する声もありますが、あるユーザーは「一貫性(consistency)が極端な難度より重要」と指摘しています。無理をして3日間動けなくなるよりも、適度な負荷で週3〜4回のトレーニングを継続するほうが、長期的な成長につながります。
MyWhooshエンデュランスの効果を引き出す5つのポイント
エンデュランスワークアウトの効果を最大限に引き出すには、メニュー選び以外にもいくつかの重要なポイントがあります。
FTPテストを最初に実施する。 MyWhooshのワークアウトはFTPベースでパワーターゲットが自動調整されるため、正確なFTP値がなければ適切な強度になりません。MyWhooshにはランプテスト、20分テスト、独自FTPテストの3種類が用意されています。ただし、ZwiftのFTP値をそのまま使うとMyWhooshでは4W程度低く出るケースが報告されているため、MyWhoosh上で改めてテストすることをおすすめします。
ERGモードを活用する。 エンデュランスワークアウトではスマートトレーナーのERGモード(自動負荷調整)を使うと、設定されたパワーターゲットを正確に維持できます。ただし、DC Rainmakerのレビューではパワー反応がZwiftより若干遅いとの指摘があるため、急激なパワー変化を伴うメニューではSIMモードのほうが自然に感じる場合もあります。
週間トレーニングの60%以上をエンデュランスに充てる。 ポラライズドトレーニングの原則に従い、高強度セッション(Threshold、VO2max等)は週2〜3回に制限します。残りの日はエンデュランスカテゴリのメニューでZone 2トレーニングを行うことで、有酸素基盤の拡大と適切なリカバリーの両立が可能になります。
シリーズ番号の順番にこだわりすぎない。 Endurance #1→#2→#3や、Mitochondria #1→#2→#3と必ずしも番号順にこなす必要はありません。同じシリーズ内でもIFやTSSにばらつきがあるため(たとえばMitochondria #3のIF 0.70は#1のIF 0.81より低い)、自分の体調やその日の目標に合わせて選ぶほうが効果的です。
カスタムワークアウトも選択肢に入れる。 MyWhooshのWorkout Builderでは、ゾーントレーニング、ランプアップ/ダウン、フリーライド、ケイデンスターゲットなどを自由に設定できます。89種類のプリセットメニューではカバーしきれないニーズ(たとえば120分のZone 2セッション等)がある場合は、カスタムで作成するのも一つの手です。また、TrainingPeaks、Today’s Plan、TrainerDayからのワークアウトインポートにも対応しています。
MyWhooshエンデュランスワークアウトの気になる疑問
全89種類のワークアウト、どの順番で進めるべき?
Kevin Poultonが推奨する進行順序は「Base Miles → Zone 2 → Endurance → Mitochondria」です。ただし、すでにZwiftなどでトレーニング経験がある方は、Base MilesをスキップしてZone 2 Enduranceから始めても問題ありません。重要なのは、IFの低いメニューで身体と精神をERGモードのペース管理に慣らしてから、高強度メニューに進むことです。
ワークアウトが起動しないときの対処法は?
SNS上では、ワークアウトが起動しない不具合の報告があります。この場合はMyWhooshアプリの再インストールで解決したケースが報告されています。アップデート後に発生しやすいようです。
ZwiftのFTP値をそのまま使ってもいい?
MyWhooshのFTPテストとZwiftのFTPテストでは、結果に若干の差が出ることがあります。より正確なワークアウト強度のためには、MyWhoosh上で改めてFTPテストを実施することをおすすめします。MyWhooshのFTPテストは20分テストの前に5分間の全力走が含まれる構成で、Zwiftのランプテストとはプロトコルが異なります。
エンデュランスだけで速くなれる?
エンデュランスワークアウトは有酸素基盤の構築に不可欠ですが、レースでの速さを求めるならThresholdやVO2maxカテゴリのメニューも組み合わせる必要があります。MyWhooshのトレーニングプランは5フェーズ×4週間(最大20週間)で構成され、Early Base(基礎構築)からPreparation(レース準備)まで段階的に強度を上げていく設計になっています。エンデュランスワークアウトは特にEarly BaseとLate Baseフェーズで中心的な役割を果たします。
Zwiftのエンデュランスメニューとの違いは?
MyWhooshのワークアウトはKevin Poulton(元Zwift社員でもある)が設計しているため、構造的にはZwiftのワークアウトと近い設計思想を持っています。大きな違いは、MyWhooshが完全無料である点と、770種類以上のワークアウトが課金なしで全て利用できる点です。Zwiftから移行する場合、MyWhooshのカスタムワークアウト機能でZwiftのメニューを再現することも可能です。
まとめ
MyWhooshのエンデュランスカテゴリには、UAE Team EmiratesのWorldTourコーチKevin Poultonが設計した89種類のワークアウトが揃っています。IF 0.63の初心者向けからIF 0.89の上級者向けまで幅広くカバーされており、すべて無料で利用可能です。
初めての方はBase Miles #1やZone 2 Steady Stateから始めて、有酸素トレーニングの基礎を身につけましょう。中級者はAerobic 12’s #1や90 Minute Enduranceで有酸素能力を拡大し、上級者はMitochondria #12や#13で短時間高強度のミトコンドリア刺激に挑戦してみてください。
エンデュランスは地味に感じるかもしれませんが、ロングライドの後半で脚が残っている感覚や、レース終盤での粘り強さは、すべてこのZone 2トレーニングの積み重ねから生まれます。MyWhooshなら月額課金なしで、プロコーチ設計のトレーニングメニューに今日から取り組めます。


