「FTPを上げて、もっと速く、もっと楽に走れるようになりたい!」
「Zwiftのワークアウトメニューが多すぎて、自分に合うものが選べない…」
もしあなたがこのように感じているなら、この記事はきっと役に立つはずです。
Zwiftは、室内トレーニングを楽しく、効果的にしてくれる素晴らしいプラットフォームです。特に、サイクリストの総合的な走力を示す指標であるFTP(Functional Threshold Power)の向上において、Zwiftのワークアウトやトレーニングプランは大きな効果を発揮します。
この記事では、
- そもそもFTPとは何か?なぜ重要なのか?
- ZwiftでFTPを測定する方法
- あなたのレベルや目的に合った、FTP向上におすすめのZwiftワークアウト
- 計画的に強くなるためのZwiftトレーニングプラン
- ワークアウト効果を最大化するコツ
といった内容を、初心者の方にも分かりやすく、網羅的に解説していきます。この記事を読めば、あなたに最適なZwiftの活用法が見つかり、FTP向上のための具体的な道筋が見えてくるでしょう。さあ、Zwiftで効率的に強くなり、サイクリングをもっと楽しみましょう!
ZwiftでのFTP向上、なぜ重要?
まず、トレーニングの話に入る前に、「FTP」とは何か、そしてなぜZwiftでFTPを向上させることが重要なのかを理解しておきましょう。
FTPとは?
FTPは「Functional Threshold Power」の略で、日本語では「機能的作業閾値パワー」と訳されます。簡単に言うと、「あなたが1時間、全力で持続できると推定される平均パワー」のことです。
このFTP値が高いほど、高い強度(パワー)を長時間維持できる、つまり「速く、長く走れる」ということになります。ロードレース、ヒルクライム、ロングライドなど、あらゆるサイクリングシーンにおいて、FTPはあなたの走りの戦闘力を示す重要な指標なのです。
FTPを測定するメリット
自分のFTPを知ることには、主に以下のメリットがあります。
- トレーニング強度の適切な設定:
FTPを基準にすることで、「楽なペース」「少しキツいペース」「限界に近いペース」といったトレーニング強度(パワートレーニングゾーン)を客観的に設定できます。これにより、感覚だけに頼らない、効果的で効率的なトレーニングが可能になります。 - 成長の可視化:
定期的にFTPを測定することで、トレーニングの成果が数値として明確に分かります。成長を実感できることは、モチベーション維持に繋がります。
ZwiftでFTPを向上させるメリット
Zwiftには、FTP向上に役立つ多くのメリットがあります。
- 構造化されたワークアウト:
- FTP向上に効果的なSST(スイートスポット)、閾値走、VO2maxインターバルなど、科学的根拠に基づいた多種多様なワークアウトが用意されています。
- ERGモードによる効率化:
- 多くのスマートトレーナーが対応している「ERGモード」を使えば、ペダルを回すだけでZwiftが自動で負荷を調整してくれます。これにより、設定したパワー値を維持しやすく、トレーニングに集中できます。
- ゲーム性とコミュニティ:
- バーチャル空間でのライドや、世界中のライダーとのグループワークアウト、レースなどは、単調になりがちな室内トレーニングを楽しく継続させてくれます。モチベーション維持はトレーニングにおいて非常に重要です。
まずは現状把握!ZwiftでFTPテストを受けよう
効果的なトレーニングを行うためには、まず自分の現在のFTPを知ることがスタートラインです。Zwiftには、FTPを測定するためのテストメニューがいくつか用意されています。
Zwiftで利用できるFTPテストの種類
主に以下の3つのテストがよく利用されます。
- Ramp Test (ランプテスト)
- 特徴:
- ウォームアップ後、1分ごとに徐々に負荷が上がっていき、ペダルを回し続けられなくなった時点のパワーからFTPを算出します。比較的短時間(20分程度)で終わり、ペース配分も不要なため、FTPが不明な初心者の方や、精神的な負担を軽くしたい方におすすめです。
- やり方:
- Zwiftのワークアウトメニューから「Ramp Test」を選択し、画面の指示に従います。とにかくペダルを回し続けることが重要です。
- 特徴:
- FTP Test (標準 / 20分走)
- 特徴:
- ウォームアップ後、20分間、全力で可能な限り高い平均パワーを維持して走り、その平均パワーの95%をFTPとします。ランプテストよりも実践的な持続力が求められ、より正確なFTPが測定できると言われています。ある程度の経験があり、より正確な数値を知りたい方におすすめです。
- やり方:
- Zwiftのワークアウトメニューから「FTP Test」を選択。20分間の全力走パートでは、序盤に突っ込みすぎず、後半にタレないよう、適切なペース配分が重要になります。
- 特徴:
- FTP Test (Short / 短縮版)
- 特徴:
- 標準のFTPテストのウォームアップなどを短縮したバージョンです。基本的な測定方法は標準テストと同じ(20分走の平均パワー x 0.95)です。
- やり方:
- Zwiftのワークアウトメニューから「FTP Test (Short)」を選択。標準テスト同様、20分間のペース配分が鍵となります。
- 特徴:
各テストのメリット・デメリット比較
テスト種類 | メリット | デメリット | おすすめな人 |
---|---|---|---|
Ramp Test | 短時間、ペース配分不要、精神的負担が少ない | 20分走よりFTPが高め/低めに出る場合がある | 初心者、FTP不明な方 |
FTP Test (標準) | より実践的で正確なFTPが測定できる可能性が高い | 長時間、精神的負担が大きい、ペース配分が難しい | 中級者以上、正確性を求める方 |
FTP Test (Short) | 標準よりやや短時間 | 標準テストと同様のデメリット、正確性は標準に劣る可能性 | 時間を短縮したい中級者以上 |
テストを受ける際の注意点
- 十分な休息:
- テスト前日は軽いライドに留めるか、完全に休養し、万全の体調で臨みましょう。
- 適切な環境:
- 集中できる静かな環境で、扇風機などで冷却対策も行いましょう。
- 機材の準備:
- バイクやトレーナーが正常に動作するか確認しておきましょう。
- 精神的な準備:
- 特に20分テストはキツいので、「やり切るぞ!」という気持ちで臨みましょう。
FTPテストの適切な頻度
トレーニングの効果測定と強度調整のため、4週間〜8週間に1回程度の頻度でFTPテストを受けるのが一般的です。トレーニングプランの途中や終了時、レース前などに実施すると良いでしょう。
【レベル・目的別】Zwift FTP向上におすすめのワークアウト
FTPテストで現状のFTPが分かったら、いよいよワークアウトを選んでトレーニング開始です!Zwiftには膨大な数のワークアウトがありますが、ここではFTP向上に特に効果的なものをレベル・目的別に紹介します。
ワークアウト選びの基本
- FTP設定:
- まずはZwiftのプロフィール設定で、測定したFTP値を正確に入力しましょう。これにより、ワークアウトの負荷が自動で最適化されます。
- 目的:
- FTPそのものを底上げしたいのか、FTP付近での持続力を高めたいのか、など目的を意識します。
- 時間:
- 確保できるトレーニング時間に合わせて、無理なく継続できるものを選びましょう。
FTP向上に効果的なワークアウトの種類
FTP向上には、主に以下の種類のパワートレーニングが効果的です。Zwiftのワークアウトもこれらの要素を含んでいます。
- SST (Sweet Spot Training):
- FTPの88〜94%程度の強度(「ややキツい」と感じるくらい)で持続するトレーニング。FTP向上のための土台作りに非常に効果的で、多くのトレーニングプランの基礎となります。比較的長時間行いやすいのも特徴です。
- Threshold (閾値) ワークアウト:
- FTPの95〜105%付近の強度で行うトレーニング。FTPそのものを直接的に引き上げる効果が期待できます。SSTよりキツく、持続できる時間も短くなります。
- VO2max ワークアウト:
- FTPを大きく超える高強度(FTPの106%〜120%程度)のインターバルトレーニング。最大酸素摂取量を高め、FTPの天井を引き上げる効果があります。非常にキツいですが、短時間で高い効果が得られます。
【レベル別】おすすめワークアウト紹介
ここでは、具体的なワークアウト名をいくつか紹介します。Zwiftアプリ内のワークアウト検索機能で探してみてください。
初心者向け (Zwiftを始めたばかり、FTP 2.5 W/kg 未満が目安)
- 「SST (Short)」:
- 約45分。SSTの入門編。まずはスイートスポットの感覚を掴みましょう。
- 「The Gorby」:
- 約60分。FTP付近での5分走を5本行う、シンプルな閾値ワークアウト。達成感を得やすいです。
- 「Ramp Test」をワークアウトとして:
- 短時間でオールアウトする経験は、FTP向上の刺激にもなります。
- トレーニングプラン「FTP Builder」の序盤:
- プラン内の初期ワークアウトは、基礎的な持久力とFTP向上をバランス良く組み合わせています。
中級者向け (FTP 2.5~3.5 W/kg 程度が目安)
- 「SST (Med)」:
- 約60分。SSTの時間を伸ばし、より持続力を高めます。FTP向上の定番メニュー。
- 「Threshold Development」シリーズ:
- FTP付近での維持時間を段階的に伸ばしていくワークアウト。着実なレベルアップに繋がります。
- 「Over Unders」系ワークアウト 」:
- FTPの少し上と少し下を交互に繰り返すワークアウト。乳酸除去能力を高め、レースでのアタックやペース変化への対応力を養います。
上級者向け (FTP 3.5 W/kg 以上が目安)
- 「SST (Long)」:
- 約90分以上。長時間のSSTで、高いレベルでの持続力と精神的な強さを養います。
- 「VO2 Max Intervals」系ワークアウト:
- 短くても非常に強度の高いインターバル。FTPの天井を突き破るための刺激を入れます。
- 「Microbursts」系ワークアウト:
- 数十秒の高強度と短い回復を繰り返す、非常にタフなワークアウト。無酸素運動能力と回復力を高めます。
- カスタムワークアウト:
- Zwiftでは自分でワークアウトを作成することも可能です。自分の弱点強化や目標レースに合わせたオリジナルのメニューに取り組むのも効果的です。
【目的別】ワークアウト例 (補足)
- ヒルクライム対策:
- 低ケイデンス(50-70rpmなど)を指定されるSSTや閾値ワークアウトで、筋持久力を鍛える。
- レース終盤の粘り強化:
- ワークアウト後半に高強度のインターバルが設定されているメニューを選ぶ。
計画的に強くなる!Zwiftトレーニングプランの活用
個別のワークアウトをこなすだけでなく、より計画的・体系的にFTP向上を目指したいなら、Zwiftのトレーニングプランを活用するのがおすすめです。
Zwiftトレーニングプランとは?
数週間〜数ヶ月にわたり、専門家が設計したワークアウトがスケジュール化されたプログラムです。ウォームアップからクールダウン、回復走、高強度ワークアウト、FTPテストまでがバランス良く組み込まれており、指示に従ってこなしていくだけで、効率的にレベルアップを目指せます。
FTP向上におすすめのトレーニングプラン
Zwiftには多くのプランがありますが、特にFTP向上を主眼に置いた人気のプランをいくつか紹介します。
- 「FTP Builder」:
- 期間: 4〜6週間
- 対象: 初心者〜中級者
- 特徴: FTP向上の基礎となるSSTや閾値走を中心に、無理なくステップアップできるように構成されています。Zwiftでのパワートレーニング入門にも最適です。
- 「Build Me Up」:
- 期間: 10〜12週間
- 対象: 中級者
- 特徴: FTP向上だけでなく、VO2maxや無酸素運動能力など、総合的な脚力向上を目指すボリュームのあるプランです。しっかり時間を確保できる方向け。
- 「TT Tune Up」:
- 期間: 8週間
- 対象: 中級者〜上級者
- 特徴: タイムトライアル(TT)パフォーマンス向上、つまりFTPでの持続力向上に特化したプランです。レースやイベントで結果を出したい方におすすめ。
トレーニングプランの選び方と注意点
- 自分のレベルに合わせる:
- プラン開始前に簡単なレベルチェックがある場合もあります。無理のないレベルから始めましょう。
- 目標と期間:
- 自分の目標(FTPを〇〇W上げたい、イベントまでに間に合わせたいなど)と、プランの期間が合っているか確認しましょう。
- 確保できる時間:
- 週あたりのワークアウト数や時間を確認し、自分のライフスタイルで継続可能か判断しましょう。
- 柔軟性:
- プランはカレンダー形式で管理されますが、多少の日程調整は可能です。ただし、あまりにスケジュールがズレると効果が薄れる可能性があるので注意しましょう。
- 休息も重要:
- プランには休息日や回復走も含まれています。しっかり休むこともトレーニングの一部です。
Zwiftワークアウトの効果を最大化するコツ
せっかくZwiftでワークアウトを行うなら、その効果を最大限に引き出したいですよね。以下の点を意識してみましょう。
- ERGモードを使いこなす:
- スマートトレーナーのERGモードは、設定パワーを維持してくれる便利な機能ですが、それに頼りすぎるとケイデンスが疎かになることも。時にはERGモードをオフにして、自分でパワーをコントロールする練習も有効です。
- ウォームアップとクールダウンは丁寧に:
- ワークアウトメニューに含まれていますが、特に高強度ワークアウトの前は入念に体を温め、終了後はしっかりクールダウンして疲労回復を促しましょう。
- ケイデンスを意識する:
- ワークアウトによっては目標ケイデンスが指示されます。指示がない場合でも、自分にとって効率の良いケイデンス(一般的には85-95rpmあたり)を意識すると、ペダリングスキルの向上にも繋がります。
- 適切な栄養補給と水分補給:
- トレーニング前にはエネルギー源となる炭水化物を、トレーニング中は水分と必要に応じて糖質・電解質を、トレーニング後にはタンパク質と炭水化物を摂取しましょう。室内は汗をかきやすいので、水分補給は特に重要です。
- 質の高い睡眠と休息:
- トレーニングでダメージを受けた筋肉は、休息中に回復し、より強くなります(超回復)。十分な睡眠時間を確保し、必要であれば積極的な休養日(アクティブリカバリー)を取り入れましょう。
- モチベーション維持の工夫:
- 目標を小刻みに設定する、Zwiftのグループワークアウトに参加する、友人と一緒に走る、新しいジャージやバッジ獲得を目指すなど、楽しみながら継続できる工夫を見つけましょう。
- 定期的なFTPテストによる強度見直し:
- トレーニングを続けるとFTPは向上します。定期的にFTPテストを行い、最新のFTP値に合わせてワークアウト強度を更新していくことが、継続的な成長の鍵です。
まとめ
今回は、Zwiftを活用してFTPを効果的に向上させるための方法について、基礎知識から具体的なワークアウト、トレーニングプラン、そして効果を高めるコツまで詳しく解説しました。
この記事のポイント:
- FTPはあなたの走りの戦闘力。FTP向上は速く、楽に走るための鍵。
- まずはZwiftでFTPテストを受け、自分の現在地を知ろう。
- SST、閾値、VO2maxなど、目的に合ったワークアウトを選ぼう。
- 初心者から上級者まで、レベルに応じたおすすめワークアウトがある。
- 計画的に強くなりたいなら、トレーニングプランが効果的。
- ウォームアップ、栄養、休息、モチベーション維持も忘れずに。
Zwiftは、あなたのFTP向上という目標達成を力強くサポートしてくれる最高のツールです。今日紹介した情報を参考に、まずはFTPテストに挑戦したり、気になるワークアウトを試してみてはいかがでしょうか?
継続は力なり。焦らず、楽しみながら、Zwiftと共にあなたのサイクリングライフをより豊かにしていきましょう!